肉親として『21世紀への対話』を酷評

 英『ガーディアン』紙のコラムニストであり、BBCの社員でもあるポーリー・トインビー女史は、『21世紀への対話』をこのように酷評した。それは、亡き祖父、アーノルド・トインビー博士の共著と呼ぶには、博士の他の著作と比べ、あまりに内容の薄いものだったからである。

 しかし、この本の出版された当時、博士の名声を池田のために利用しようとする創価学会では、機関紙『聖教新聞』を使って大宣伝。いわく

 「西洋と東洋の英知の融合」
 「21世紀へ人類がいかに進むべきかの重要問題をめぐり、通算10日間近くにもわたって行なわれた対談」
 「過去の文明史をくまなく訪ね歩いた老碩学(せきがく)と、生命哲学の真髄(しんずい)を体して世界平和への布石に熱誠を傾ける少壮の実践者と――。洋を東西に分かつ両者を対話の場に引き寄せた者は、歴史の未曾有(みぞう)の難所にある現代世界に、力強い警世の助言をとどめようとする、共通の巨大な責任感であった。対談集には両対話者の、なみなみならぬ人類愛の発露(はつろ)が随所に光彩を放っている」
 「人類存続のために考察を必要とする懸案(けんあん)は、あますところなく、論究されている」
 「随所に輝く未来双肩の英知」

等々等々――。

 この誇大広告の見本のような宣伝文句と共に、かの“対談”を読めば、あるいは、内容の「深遠さに」「身体に電流が走るような思い」を感ずる人もあるかもしれない。典型的な、宣伝と洗脳の効果である。

 だが、これら学会側の宣伝文句と、ポーリー女史による評価とを、じっくり読み比べてみていただきたい。博士のことを知り尽くし、しかも、自ら高い教育を身につけた、博士の肉親による評価である。

 両者のあまりの落差に誰もが驚くであろう。

 では、なぜ、このような本ができ上がってしまったのか――ここでは、『21世紀への対話』がトインビー博士にとって、どの程度の位置付けの本なのか、を明らかにすると共に、トインビー博士の名声を利用池田のために利用しようとする学会の大宣伝が、いかに空虚であるかを指摘するにとどめておく。


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