突然の招待と“対談”の評価「とりとめもない、内容薄い本」


 日本に着くまでの長い時間、私は祖父の死後に出版された本『生命の選択』 (※邦題『21世紀への対話』)を読みました。この本は祖父と、池田大作という日本の仏教指導者との対談を収録したものです。
 この対談がなされた時期は、歴史家だった祖父アーノルド・トインビーが85歳の時で、脳出血で倒れる少し前でした。この本は、祖父の著作の中でも最も忘れ去られたような本で、性教育から始まって、汚染、戦争などに至るまで、とりとめもなく長々とした、二人のおしゃべりを収録したものです。
 数ヶ月前、突然、池田氏のロンドンの代理人から電話があり、“祖父を偲び、また、祖父への感謝の気持ちを現わす意味で、私と夫を日本に招待したい”とのことでした。
 祖父が死んでから8年も後だっただけに、私達はちょっといぶかしく思ったのですが、これが西洋人には理解のできない、日本人特有の“恩”とか“家族意識”とかいったものなのかもしれない、と思いました。
 いろいろ考えても、その理由以外、まったく思いつかなかったのですが、この旅行が終わり近づく頃、その意味は次第に明らかになっていきました。西洋からの訪問者が、どちらかというと、めったに見られない、日本の別の一面を見ることができたのです。


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